金環日食の準備

皆さん御存知の通り、5月21日は金環日食という天文イベントがあります。
2009年の皆既日食はお仕事中で、しかも日食の間中窓のない建物に居たために、お祭り騒ぎには全くタッチできませんでしたが、今回は早朝と言う事で、頑張れば仕事に行く前に観測が可能という嬉しい状況。
ただ、日食観測グラスを買うというのは芸がない。
1回のイベントのために千円以上もお金をかけるのはオイラのポリシーに反します。

何とかならないかなぁと考えていたところ、食品用ラップの芯が2本も見つかりました。ラップの芯は分厚いボール紙で遮光性抜群。
これでピンホール観測機が作れるんじゃないかと制作してみました。


ピンホール太陽観測器の結像原理はピンホールカメラと同じですから、構造は単純。
長い筒の一端に小さい穴を開け、他端に結像した太陽を見るための覗き窓を開けるだけです。
最近はテレビでもまがい物グラスで目を傷めない様にと代替案の説明をしていますが、代替案の中に必ずピンホールを使った観察方法が紹介されてますね。

という訳で、完成した実物の写真です。

長いです。約90cmあります。(^^;)
大きさの比較のために、隣に雑誌を置いてみました。(笑)

ピンホール観測機で太陽の観測をする場合、結像した太陽の直径は観測機の全長(ピンホールから結像面までの長さ)の約1%だそうですので、この観測機に映しだされる太陽の直径は約0.9cmという事になります。

こんな感じで簡単に分解出来ます。

上段と下段はラップの芯、中段は以前100円ショップで買った工作用紙の余りを丸めたものです。

ちなみに、このように中段の中に上段はすっぽりと納めることが出来ます。

この時の全長は60cm。結像した太陽がひと回り小さくなりますが、短くなった分照準を合わせやすくなります。

また、この状態で上段を逆さにして下段に突っ込むと、こんな感じになります。

なんか、釣竿の収納みたいですが…(笑)
この状態では太陽観測は出来ませんが、この観測機で一番デリケートなピンホール部分に蓋をしたような形になりますので、持ち運びに適しています。

上段の先端のピンホール部分です。

穴は小さいほうが像がシャープに、反対に大きいほうが像が明るくなります。最初は直接ボール紙に穴を開けましたが、蓋に使用したボール紙の毛羽立ちが気になったので、ボール紙には直径4〜5mm程度の穴を開け、さらに2mmの穴を開けたアルミ箔をセロハンテープで固定しました。
最近は見かける機会も減りましたが、テレホンカードのパンチ穴が理想です。

下段の結像部分です。


ピンホールを通過した光は、太陽の形となってこの面に映ります。覗き窓を開けて、結像した太陽を見ることが出来ます。

さて、本来はこれでひと通り完成なのですが、ラップの芯を使用した観測器は直径が小さいため太陽に照準を合わせるのが大変。本来は結像する面が広く、長さが短いほうが観測が楽なのです。
筒の長さによりますが計算では±1.3〜1.8度程度の誤差しか許されない模様。
そんな訳で、単純な照準器を付けてみました。

本当に単純。(笑)
本体と並行になるように爪楊枝を取り付けただけ。
爪楊枝を刺した面に爪楊枝の影が映らなくなった時、爪楊枝が太陽の方向を向いた事になるので、爪楊枝と観測器が完全に平行ならこの時太陽が結像している筈ですが…テキトーに作ったので、役に立つかどうか…。(^^;)

とまぁ、こんなところです。
家にあった廃材とガムテープだけで作ったので、新たに買い物をせず0円で完成。
まぁ、同じ原理のものを100円ショップ等で揃えても工作用紙とボール紙とガムテープだけで完成するでしょうから、材料費315円程度かな。照準器の爪楊枝を購入しても420円で終わり。金額的には100点です。

で、実際に使ってみたらどうなるのか?
今朝観測器の試験と、当日のロケハンを兼ねて近所をうろついてきました。金環食の時間帯と同じ朝7時過ぎに、家の近所で試験した時の写真です。

思った以上に綺麗に、太陽を捉えることが出来ました。(^o^)/
多少の誤差はありましたけど、最後に取って付けたような照準器が大活躍でした。あとは当日の空模様が悪くならないのを祈るばかりです。