PDAに最適な文字入力デバイスを考える
「PDAの代表的な文字入力デバイスと言えばスタイラス」
少なくとも、数年前まではこの概念に異を唱える人はあまりいなかったように思います。
まぁ、HP200LXやPSION Series 5mxなどを考えれば
「キーボードもまた代表的な入力デバイス」
だと言えるでしょう。
スタイラスとキーボードは、昔からPDAの標準入力デバイスの座を争ってきた間柄なのです。
一時期PDAメーカーはスタイラスによる文字入力を効率よくするために様々な工夫をしていました。精度の高い手書き文字認識ソフトが乱立したり、PalmのGraffiti採用などはそんなメーカーによる工夫の結果です。
しかもタッチパネル液晶画面上でスタイラスを滑らせて文字を入力するという手法は、未来的な感じで、ユーザに「かっこいい」という印象を与えます。
僕もその一人でした。
しかし最近の風潮を考えるとスタイラスは少々分が悪いです。
PDAがスマートフォンとして進化していく過程で、スタイラスは軽視される事が多くなってきました。
元よりテンキーが標準の入力デバイスである携帯電話にPDAを融合させたスマートフォンですから、ユーザがキーボードを好む傾向があったのかもしれません。
最近では、QWERTYキーを搭載してもスタイラスは搭載しない(タッチパネル液晶を搭載しない)スマートフォンもかなり浸透しているようです。
では、今後PDAの標準入力デバイスはキーボードになってしまうのでしょうか?
僕はそうなると思っています。
スタイラスはあくまでもマウスと同種のポインティングデバイスです。
ですからスクリーン上のアイコンをタップしたりボタンを選択するような動作であれば、スタイラスは最適なデバイスとなるでしょう。
しかし文字入力に関しては、例えどんなに認識率の高い高機能な入力ソフトにサポートされたとしても、入力速度はキーボードにかなうものではありません。
ポケットからさっと出して瞬時に情報を見るというのはPDAが最も得意とするところです。
しかし、文字入力がスタイラスによる手書きだったらどうでしょう?
予定の入力のように、短い文章であればそれほど苦にはならないでしょう。しかし長文のメモを手書きで作成するのはユーザのストレスになります。
やはり、オールマイティに使える文字入力デバイスはキーボードなのでしょう。
PDAやスマートフォンが世界中で使われるようになって、ユーザが感じたのは「やはりキーボードの方が使いやすい」という事だったのではないかと思います。
メーカーにしても、タッチパネルと手書き認識ソフトが必要となるスタイラスはコストを押し上げる要因となるので、キーボード搭載は歓迎されるでしょうしね。
もっともスタイラスが不要かと言うと、そんなことは無いと思います。
先ほども述べたように、ポインティングデバイスとしてのスタイラスは、PDAにとってベストな選択肢であると思っています。
そんな訳でキーボードとスタイラスを搭載した高機能デバイスかキーボードのみの廉価版デバイスというのが今後の主流になっていくように思っています。