総務省発表のSIMロック解除義務化方針について

週末から世間を騒がせている総務省からのアナウンス、SIMロック解除義務化方針について考えてみる。
基本的には歓迎だが、結構色々な問題があると思うので。
なお、ここから先は私の独断と偏見で書かせて頂いているので、違う意見をお持ちなら鼻で笑って下さい。



大手キャリアのコンテンツビジネスの変化

まず初めに、SIMロック解除の話がこれだけ具体化したのはスマートフォンが普及した事が大きいと思う。
i-modeなどキャリアのコンテンツと雁字搦めだったガラケーから、キャリアを離れたネット上のコンテンツがメインのスマートフォンに主流が移ったからこそ、SIMフリーを具体的に考えられる下地が整ったと言っても間違いではないだろう。

ただしスマートフォンに移ってもキャリアコンテンツの縛りが無くなったわけではない。
ただしそのキャリアコンテンツも少しづつ形を変えて、来るべきSIMフリー化に備えていたと思えるフシがある。
キャリアメールはドコモ、auソフトバンクともパソコンから送受信出来る仕組みが整っている。極端な話、IDさえ持っていれば携帯は不要だ。
気がつけば今までは端末に紐付いてたコンテンツがIDで紐付くサービスとなっている。
その他のコンテンツも(ドコモなら)dメニューアプリがあれば、どんなスマホでも使える。
例えば仮にdメニューアプリがインストールできるなら、auソフトバンクの回線からでもドコモのコンテンツサービスを使うことが出来る下地が整いつつあると言うことだ。



スマホ供給の変化

コンテンツと違って、こちらはこれから大きく変化すると思われる。
端末がSIMフリー化すると言う事はキャリアが端末を供給する必然性が薄れると言う事に他ならない。
これには色々意見があると思うが、少なくとも似たようなモデルをドコモとauで微妙に仕様やデザインを変えて供給すると言うのは効率的によろしくないと考える。
スマホメーカー側は似たような複数モデルを開発&リリースするより1モデルを開発して各キャリアに卸す方がやりやすい筈だ。
前述のようにキャリアも端末と自社コンテンツの結びつきが切れてしまえば端末を積極的に売る理由は無くなってしまう。
しかし長年やってきた端末販売を無くすのは難しいので割賦販売は残ると思うが、今のように割り引いてまで自社経由で端末を買わせるかどうかは微妙だ。


通信事業の変化を語る前に

通信事業は大手キャリアがMVNOと競合するところ。
今回の総務省からのSIMロック解除義務化方針の発表が正面から影響してくる部分である。

ここでMVNOとドコモの新プランで費用について比較してみる。

スマホ1台の通話+通信プランを考えてみよう。
通信データ量を5GBとした場合、ドコモでは8,000円となるが、MVNOと比較するのであれば、通信量がもっと少ないライトユーザがメインなので最低の2GBと比較してみよう。

通信量2GBの場合、ドコモではトータル6,500円/月となる(iPhoneならば3GB)。
一方、IIJmio みおふぉんライトスタートプラン(2GB)2,721円。
b-mobile スマホ電話SIMフリーData(3GB高速データオプション付)ならば3,120円。

こう見るとMVNOの方が安いが、MVNOは通話定額が無いので通話料が上乗せになる。
更に隠れたコストとして端末の調達費用がある。
中古で程度の良い端末を探せばそれだけコストを下げられるが、新品の端末を用意した場合、例えばiPhone 5s(64GB)を購入するためには94,824円必要だ。
これは最低でも4,000円/月で積み立てて2年かかる。上記MVNOの通信料に\4,000を加えると、ドコモとの差が大きく縮まるのが分かるだろう(ドコモも割賦販売の金額が上乗せになるが現状では割引が付いているので明らかにMVNOより有利)。



SIMフリー化は難しい

今回のカケホーダイをベースとしたプランは実質値上げと叩かれているが、個人的にはキャリア各社の過当競争を是正して適正料金に近づけたのではないかと勘ぐりたくなる。
ドコモの場合、以前のXiプランのままだとトータルコストでMVNOが不利になりかねない。
それが是正されたと言うのが僕の感想。
目先のコストが安いので飛びついて、結局それ程安くないよねとなるとイメージばかり悪くなり、顧客が離れてしまう。これは形こそ違うがPHSが辿った道である。

一方、大手キャリアは元々設備投資にいくら金があっても足りないくらいだろう。収入の一翼を担うコンテンツ事業は、キャリアコンテンツをネット上に追い出したためIDさえ持っていれば他のキャリアからでもアクセスできる環境をいつでも提供できる準備が出来た。
今後、SIMフリー化が進むとすると、例えばドコモのIDしか持っていないユーザが他のキャリア端末やパソコンからインターネット経由でドコモのサービスを利用するという事が、もっと積極的に行われるかもしれない。

ここ数年の流れを見ていると、そのへんの準備を長い年月をかけて整備してきたのではないかと考えて良いように思う。勿論、その場に総務省が絡んでいたことだろう。
いや、本当にそれくらいかけないとSIMフリー化は難しい事業だと思う。
様々な努力と改善と妥協を繰り返し、ようやくSIMフリー化の準備が出来たのであれば、今回の発表は期待していいのかもしれない。

最後に重ねていうが、この記事は私の独断と偏見で書かれたもので根拠は何もない。