PQI AirCard 使ってみました

コンパクトデジカメで使用していたSDカードが容量一杯になったので、新しいカードを購入。
ただ買うだけでは芸がないので、以前から少し気になっていたPQI AirCardを購入しました。

いわゆる無線LAN機能付きカードですが…パッケージをご覧いただければ分かる通り、SDカードアダプタ+microSDカードと言う構成になっていて、SDカードアダプタ部分にWiFi接続機構が組み込まれています。

箱を開けたところ。
大げさなパッケージの割に、中身はこれだけです。
パッケージの中で一番でかい顔をしているのは殆ど役に立たない説明書で、肝心のアダプタは申し訳無さそうに箱の隅に収まっています。
今回はデジカメのメモリ購入が目的でしたので、16GBのmicroSDカード付きを購入しましたが、アダプタ単体モデルもあるようです。








使い方ですが、このカードアダプタ本体が無線LANアクセスポイント兼Webサーバーとなっているので、カメラにPQI AirCardをセットして電源を入れるだけで、カメラが無線LANサーバーになります。

PQI AirCardがサーバーになっているため、ブラウザでアクセスするとカメラ内の画像一覧をそのまま表示することができます。
一番下にある青と緑と赤の写真イメージは、PQI AirCardの制御用の画像で、カメラからこの画像を削除することで、カードの制御ができるものらしい。基本的には無線LANサーバー機能のON/OFF、無線LANの子機として他ののHotSpotに接続する機能、そしてPQI AirCardを工場出荷状態に戻すきのうの3つがある。
カメラ上からこの画像の削除操作をすると機能が有効になるようだ。なかなか面白い使い方だと思う。

ちなみに、スマートフォンからは専用アプリからもアクセス可能。
ブラウザで起動するとトップページには以下の様な画像があり、アプリダウンロードページに誘導してくれます。

ただ使い勝手はイマイチで、僕の場合アプリを起動したらいきなり落ちました。
どうも、スマホ無線LAN接続をPQI AirCardに切り替えてからじゃないと、アプリが起動できないようです(説明書の何処にもそんなこと書いてませんが)。

アプリの話が出た所で、実際の使い勝手について触れておきたいと思います。



無線LANの設定
工場出荷状態ではセキュリティの全くかかっていない無線LANスポットとして起動しますが、ブラウザやアプリからアクセスして、SSIDとパスワードを設定することでセキュリティ設定を変更できます。
セキュリティ方式について設定はありませんが、スマホ無線LANのステータを確認したところWPA2のようです。



起動速度
カメラの電源ONと同時にWiFiが立ち上がる…という訳にはいきません。
調べた所、アダプタの中身は組み込み用のLinuxが動作しているようで、電源ONと同時にLinuxがブート開始します。
起動が完了してWiFiスポットとして接続できるまでおよそ20秒前後でしょうか。
まぁ、撮影してすぐにスマホに取り込むと言うような使い方なら問題はありません。



実際の使用について
組み込みLinuxを駆動しているCPUが何か知りませんが、カメラの電源に寄生して動くため大したパワーではないと思われます。
が、なかなか健闘していると思います。
正直、快適というレベルではありませんが、ブラウザ経由のアクセスではもっと遅いかなとも思っていました。
ブラウザもアプリもカメラ画像が多いとサムネイル画像の表示にはかなり時間がかかりますが、これはCPUパワーもさる事ながら、無線LANの速度も影響しているかもしれません。

ただ、PQI AirCard自身がサーバなので、写真をスマホにダウンロード中でもカメラで撮影することができます。

スマホに写真をダウンロード中に、PQI AirCardが挿さったカメラでダウンロード中のスマホを撮影(笑)

そんな訳で使い勝手に幾つか癖がありますが、チョコっと使った感じではなかなか使えそうな印象です。



マニアックな使い方

因みに、PQI AirCardのLinuxにはWebブラウザ以外に、TelnetFTPでもアクセス可能。
ノンパスワードでいきなりrootでログインするので、OSセキュリティ的にはかなり怪しいのですが、同じLAN上にいない限り接続出来ないので大丈夫でしょう。

ただし /etc ディレクトリとか、システムの設定に関するファイルにもアクセスできるので下手にいじるとシステムを壊す危険もあります。
この辺は知識のない人は手を出さないほうが無難でしょう。

逆にFTPは便利に使いこなせます。
ブラウザやアプリはサムネイル表示に時間がかかってしまいますが、FTPクライアントソフトならそんなこと気にせず一気にカメラから写真をダウンロードする事も可能。

写真数が多ければそこそこダウンロードのに時間はかかりますが、カメラから独立したサーバーですから、ダウンロード中でも撮影は可能です。



総括
元々無線LAN機能なんて無いデジカメに後付で機能搭載するアダプタとしては、まぁまぁ良くできている方だと思います。
ただし、スマホアプリの出来がイマイチで、特に無線LANでカードに接続してからでないとエラーでアプリが落ちるという理不尽な仕様は何とかならないものかと思います。
レビュー等を見ても、アプリが起動できないという声の多さを見る限り、せめてアプリ起動時にPQI AirCardのAPに自動で接続してブラウズしてくれるくらい気が利いていれば、もう少しこのカードの評価も高い気がします。

マニアックな使い方が出来る人には、また違った楽しさがあるかもしれません。
PQI AirCardの記事を調べている中で、Linuxのシェルを書き換えた改造記事のようなものも見かけました。

最後に一言。
使い勝手を上げるコツとして、カメラの設定にも一工夫必要でしょう。
今までカメラのパワー設定で、無操作30秒でパワーオフとしていましたが、これでは無線LANで繋がった直後に電源がブチブチ切れるので使用に耐えません。
僕は5分にしましたが、この辺は使い方によって大きく変わるところですね。
あと無線LANLinuxサーバを駆動するために、カメラのバッテリー消費量は増えているはずです。
さらに、アクセスするためにカメラの起動時間も伸びたり電源設定も同様に変更するため、予想以上にバッテリーの消費が激しくなることも想定されますので、交換用のバッテリーは用意して常に持ち運んだほうが良いかもしれません。

最後の最後
この手の商品の常ですが、相性問題というのは存在します。
心配な方はメーカーサイトを確認しましょう。
FAQに非対応品一覧があります。
あと対応表も何処かにありましたが殆ど機種が載っていないので、余り役に立たないかも。
因みに僕は COOLPIX L23 で使いました。
メーカーは対応とも非対応とも明言してませんでしたが、特に問題なかったようです。

参考まで。